『佳奈夢(かなむ)』 夢をかなえてくれた娘

投稿者:LUNA

私は26歳の時に妊娠しました。
2番目の子供でした。
体調が悪く産婦人科に行ったら妊娠している事が判ったのですが、血液検査に異常があるとの事で総合病院を紹介され、なるべく早く受診する様に言われました。
その時私は、大した事は無いだろうと甘い考えで病院に行きましたが診察を受けると思いもよらない言葉が告げられました。
入院して検査が必要だと言う事、子供は産めるかどうか判らないと言う事でした。
私はお腹に宿っていた子供は欲しいと思った時に出来た子で、一番目の子供は何の障害も無く産んだので信じられませんでした。

とりあえず2週間の予定で検査入院する事になりました。
その時判っていたのは、健康な人より血小板が異常に少なく、いつ大きな血管が切れてもおかしくない状態である事、もし切れたら出血多量で命を落とすかも知れないという事、流産の危険もあるとの事でした。
入院してからは毎日検査の日々でしたが、お腹に赤ちゃんがいると言う事で無理な検査は出来ませんでした。

そして、検査の途中で私の容態が悪くなり病名が確定する前に治療を始めなければいけなくなったのです。
しかしお腹に子供が居て薬を投与すると言う事は前例が無く、どの様な形で生まれてくるか判らないので、出来れば諦めた方が良いとの事を告げられました。
でも私はどうしても諦められず、どの様な状態になっても責任は問わないと言う文書にサインをして出産する事を決意しました。

その後、治療が始まり同時に検査も行われました。
そして最終的に告げられた病名が「血小板減少性紫斑病」と言う難病で、先生からは、この病気になった人はみんな赤ちゃんを下ろしていて、産んだ人は居ないと言われました。
また数年後にはこの病気を治す薬が出来るので病気を治してからまた子供を作れば良いとも言われましたが、私の気持ちは変わりませんでした。

お陰さまで病状も安定してきて後は出産を待つだけでした。
私はどんな形で生まれてこようとも、生まれてきた子が「生まれてきて良かった」と言える様な子育てをしようと心に決め生まれてくるのを楽しみに待ちました。
不安が全く無かったとは言えませんでしたが、産めると言う事だけで夢が叶った様な気持ちで、毎日毎日、夢が叶ったと言っていました。

それを聞いていた主人がある日名前の事で、お前が夢が叶ったっていうから、名前は「かなむ」とすれば良いのではないかと言ってくれたのです。
最初は何だか変わった名前でしっくり来なかったのですが、生まれてくる間その名前で呼んでいるうちに可愛い名前だと思える様になりました。

そして、無事何事もなくとても元気な赤ちゃんが生まれ、今、娘は名前の由来を聞いて自分の名前に誇りを持ってくれています。

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