『日茉(ひま)』 ひまわりから産まれた娘
投稿者:ume
日茉はわたしにとって初めての子。
だから、名前をつけるという大きな作業に対しとても緊張していたし、わくわくもしていた。
いろんな育児書を読んだり、名づけ本を読んだりして、毎日毎日どんな名前にしようかとても悩んでいた。
そんな中、主人と出かけた先で目にとまった花があった。
「ひまわり」の花。
ひまわりにもいろんな種類があるが、わたしたちが出会ったひまわりは「THE ひまわり」というかんじがした。
茎が太く色は濃い緑、葉を大きく広げながらまっすぐ空に向かって伸び、先につく花は花びらが大きく、それはきれいに咲いていた。
わたしはこのひまわりを見たとき、「これだ!」と思った。
運転席にいる主人の顔を見ると、同じ顔をしていた。
このひまわりのように、まっすぐ大きく生きていってほしい。
そして、この花のように太陽のような明るさをもってほしい。
「ひまわりだね!」とよろこびあい、おなかにいる子に「ひまわりちゃん」と名づけた。
出産予定日が近づき名づけ作業も最終段階にはいった頃、「ひまわりちゃん」のままでいいのか悩み始めた。
ひまわりをこのままひらがなで使うと長いよね、ということになりこちらは却下。
3文字4文字の名前をつけても2文字で呼び合うことが多いし、その方が呼びやすいかな?とも思い、ひまわりの上2文字をとって「ひま」という読み方にすることが決まった。
次に考え始めたのがどんな漢字にするかということ。
ひまわりは漢字で書くと向日葵。
これはこれでかわいいが、もし将来お嫁に行ったとき複雑な苗字の人と結婚するとバランスが悪くなるんじゃないか、ということでこちらは案からはずした。
女の子はいずれ苗字が変わってしまう可能性が高いから、画数に関してはまったく考えなかった。
苗字は変わってしまうかもしれないけど名前は一生変わらないから、漢字のもつ意味を大切にしたかった。
わたしたちが見たひまわりは太陽のようだったということと、主人の名前が太陽の太からつけられているので、ひまの「ひ」をお日様の日からとることにした。
「ま」に関してはぎりぎりまで悩んだが、ジャスミンを漢字にしたときに使う、茉莉花から茉をとることになった。
ジャスミンは「神からの贈り物」という意味があり、花言葉は「愛らしさ」、花の香りには「人の気分を明るくする」作用がある。
わたしの大好きな花であり、意味合いもわたしたちが求めるものとぴったりだった。
こんな流れの中から、「日茉」という名前が誕生した。
出産後家族に発表した時、わたしの母と弟はかわいいかわいいと大賛成してくれた。
ただ、大正生まれのわたしの祖母がなにやら心配顔をしていた。
「日茉ちゃん、暇?」といじめにあうんじゃないかと心配しているようだった。
まったく気づかなかったが、言われてみればたしかにそんな気がした。
でもわたしと主人の中でこの名前以外考えられなかった。
今は変わった名前の子も多いんだよ、ということを話し、安心してもらった。
娘は今、あの頃わたしたちが思っていた以上の明るさとまっすぐさを持っている。
まさにひまわりのような娘だ。
名前というのはこんなにも人生に影響するものだろうか、と考えてしまう。
中学生になった娘はハンドボール部に入り、部活部活の毎日。
顧問の先生にどんなにしごかれたってへこたれない。
「全部うけとめてたらやってらんないよ~」なんて言いながら、とびっきりの笑顔で今日も頑張っている。